犬の皮下肥満細胞腫

症例

15歳8ヵ月 トイ・プードル(去勢・雄)

来院理由

右大腿部に皮下腫瘤を見つけた。

身体所見

(※写真は拡大できます)

右大腿部に皮下腫瘤を認めた。皮膚固着は認められなかったが、底部固着は認められた。(図1*

犬の皮下肥満細胞腫・写真1
図1:発見された皮下腫瘤

検査

【細胞診】

  • 大腿部腫瘤では肥満細胞が大量に認められた。
  • 右膝窩リンパ節の腫大は認められなかったが、針生検をしてみるとわずかに肥満細胞が認められた。

【血液検査】

  • 異常は認められなかった。

【レントゲン検査】

  • 心拡大を認めた(VHS:10.8)
    腹部に異常は認められなかった。

【超音波検査】

  • 僧帽弁逆流を認めた。左房拡大は認められなかった。
  • 腹部では異常は認められなかった。

【診断】

皮下肥満細胞腫
MMVD ステージB1

治療方針

(※写真は拡大できます)

腫瘤は外科的に切除し、右膝窩リンパ節に関してもわずかに転移を疑う所見が認められたため同時に切除した。(図2~5)

犬の皮下肥満細胞腫・写真2
図2:横には1.5cmの余裕をもって切除した
犬の皮下肥満細胞腫・写真3
図3:腫瘍と同時にわずかな腫瘍細胞の取り残しを防ぎ、完全切除を目指すため腫瘍直下の筋膜を1枚同時に切除した
犬の皮下肥満細胞腫・写真4
図4:切除後
犬の皮下肥満細胞腫・写真5
図5:露出している筋肉と筋肉の間から膝窩リンパ節を確認し、切除した

経過

腫瘤:皮下肥満細胞腫(完全切除)
リンパ節:転移は認められず
術後経過は良好で現在再発はなし。このまま無治療で経過観察を継続。

獣医師からのコメント

今回は犬の肥満細胞腫を紹介しました。
前回までの猫たちと異なり切除する幅も大きくとっていますが、特に犬では本来は今回のように正常組織も含めて大きく切除することが望まれます(拡大切除と言います)。私たちが目で見える腫瘍以外にも肉眼では見えないようなごくわずかな腫瘍細胞が周囲に存在している可能性があるためです。

また今回は周囲のリンパ節も針生検を行い、わずかにリンパ節転移を疑う所見が認められました。肥満細胞腫ではリンパ節転移があった際には切除することで治療成績が向上することが分かっています。
リンパ節に肥満細胞があること=転移というわけではありませんが今回は位置も近かったため同時に切除しました。結果として転移はありませんでしたが、私自身も手術前の全身検査の重要性を再認識させられました。

担当獣医師のお名前

小島 大輝

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