- 診療時間
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- 9:00〜12:00/16:00〜20:00
- 年中無休 365日診療
症例
ティーカッププードル 14歳 避妊雌
来院理由
半年前からあった腹部の腫瘍が大きくなった。痛そうで食欲も落ちている。
身体所見
胸部に大型の腫瘤が認められた。腫瘤は筋肉に張り付くように板状に広がっており、胸部のほぼ全域を占めていた。また硬く熱感があり、本人も痛いためか触られるのを大変嫌がった。一部は自壊していた。


<左>半年前の腫瘍:3㎝ほどで赤みはなかった。
<右>今回来院時の腫瘍:9cmまで増大し、炎症の影響で赤みを帯びていた。一部は皮膚が壊死していた。
検査
<血液検査>
白血球及びCRPの上昇が認められた。また軽度の非再生性貧血が認められた。以上より現在進行形の慢性炎症性疾患が疑われた。
<超音波検査>
胸腹部において明らかな異常は認められなかった
<レントゲン検査>
胸腹部において明らかな異常は認められなかった
以前の細胞診の結果から今回の腫瘍は上皮系の腫瘤が疑われており、他の検査より炎症を起こすような異常が他になかったこと、特徴的な見た目や所見から炎症性乳癌と診断した。
治療方針
外科は不適応のため、疼痛管理を中心に対症療法を行った
経過
初期は痛みが軽減されたことをオーナー様も実感できていたが徐々に効かなくなった。鎮痛剤の増量、追加により少しは痛みが軽減されていたが病気の進行も早く次第に食欲も落ち、眠りも痛みにより妨げられてしまう状態になった。炎症性乳癌と診断して約1か月半後に永眠した。
担当獣医師のお名前
小島 大輝
獣医師からのコメント
炎症性乳癌は乳腺腫瘍の中でも最も悪性度が高い腫瘍です。有効な治療方法がないので痛みを軽減するような対症療法が治療の軸になりますがそれでも予後が悪いため炎症性乳癌にさせないようにすることがとても大切です。
炎症性乳癌は腫瘍発生時から炎症性乳癌のものと乳腺腫瘍がどんどん悪性化して炎症性乳癌になっていくものがあります。前者は早期の避妊手術で乳腺腫瘍の発生率を大幅に減らすことができることが分かっているため避妊手術が一番の予防になります。後者は犬の場合、乳腺腫瘍は良性であることが多いのですが次第に悪性化し、最終的に炎症性乳癌になることが分かっています。さらに良性悪性の判断も手術により腫瘍を取ってみないと判断がつきません。しかし早期の手術によって取り切れば完治も望める腫瘍の為、早期発見と治療がとても大切になってきます。




