- 診療時間
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- 9:00~12:00/16:00~20:00/22:00~6:00
- 年中無休 365日診療(夜間救急:金・土・日・月)
症例
10歳8ヵ月
猫(MIX)
去勢雄
来院理由
急性の右前肢麻痺および呼吸促拍を主訴に来院。
身体所見
心拍数 172回/分、呼吸数 52回/分。
右前肢にナックリングを認め、右前肢肉球は暗色調を呈していた。肉球は軽度の冷感が認められた。


検査
胸部レントゲン検査では、肺後葉領域および気管支分岐部周囲を中心に不透過性亢進を認めた。(図3)
心エコー検査では、心筋肥大、左房拡大、左房内に血栓の存在を示唆するもやもやエコーを認めた。動的左室流出路閉塞は認めなかった。(図5)
治療方針
以上の所見より、肥大型心筋症に伴う肺水腫および動脈血栓塞栓症と診断した。
入院管理下にて、心不全、肺水腫に対して強心薬(ピモベンダン 商品名:ベトメディン)および利尿剤(フロセミド 商品名:ラシックス)を、動脈血栓塞栓症に対して抗凝固療法(ダルテパリンNa)を実施した。また、血栓による疼痛に対して鎮痛薬(ブプレノルフィン)の投与を実施した。
翌日より、呼吸状態が改善したため抗血小板薬(クロピドグレル)の経口投与を開始した。
経過
入院翌日には利尿剤への反応は良好であり、呼吸数の安定化(24回/分)および胸部レントゲン検査で肺野不透過性の改善を認めた。
入院4日目には、すべての薬剤を経口投与へ切り替え、食欲も徐々に回復した。
入院8日目には呼吸状態および心臓のうっ滞所見の改善を認め、自宅での管理が可能と判断し退院とした。右前肢麻痺については軽度改善を認めたものの、不全麻痺は残存した。しかし、疼痛反応や前肢を動かそうとする反応は徐々に改善傾向を示していた。
発症から約1か月後には、右前肢の運動性は8割程度改善し、自力での不便ない歩行が可能となった。自宅でも発症前と同様の生活が出来ているとのことであった。一方で、心臓超音波検査上は心筋肥大および左房拡大が依然として認められるため、強心薬、利尿薬、抗血栓療法を継続している。(図4、6、7、8)
今後も肺水腫や動脈血栓塞栓症の再発、ならびに他部位での血栓形成リスクがあるため、慎重な経過観察が必要と考えられた。






獣医師からのコメント
猫の心筋症に伴う動脈血栓塞栓症は、突然症状が現れることのある緊急性の高い疾患です。ご自宅で急に足が動かなくなったり、痛そうに鳴いたり、呼吸が荒くなる場合にはこの疾患の可能性があります。できるだけ早期に治療を開始することが大切なため、そのような症状がみられた際には、速やかに動物病院へご相談ください。
また、心筋症は初期には症状が目立たないことが多いため、定期的な健康診断をうけていただくことで、早期発見・早期治療につながります。
担当獣医師のお名前
丸山 純果




