- 診療時間
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- 9:00~12:00/16:00~20:00/22:00~6:00
- 年中無休 365日診療(夜間診療:5/8(金)~ 金・土・日・月のみ)
症例
11歳3ヵ月 ゴールデンレトリバー(避妊・雌)
来院理由
他院にて抗がん剤で皮膚型リンパ腫の治療中。
活力低下、震えており頻尿傾向。
身体所見
皮膚型リンパ腫に関しては現在寛解中
発熱(39.6°C)を認めた
検査
【血液検査】
- 白血球の減少を認めた(血液塗抹検査にて好中球数の実数を確認済み)
- CRP(炎症数値)の上昇を認めた
【超音波検査】
- 膀胱はわずかに低エコー性を示していた
- 膀胱炎からの上行感染により腎盂腎炎の可能性を考えたが腎臓及び周囲の脂肪輝度に異常は認められなかった
- 他感染を疑う所見は認められなかった
【レントゲン検査】
- 胸腹部共に異常は認められなかった
【尿検査】
- 細菌及び白血球が認められた
【診断】
各検査及び抗がん剤投与後5日目ということから発熱性好中球減少症と診断した。
治療方針
入院下で抗生剤の静脈内投与による治療を行った
経過
次の日には体温は正常に戻り活動性も回復傾向であった。
数日間同治療を継続し、血液検査にて好中球の数が上昇したことを確認した後退院した。
退院後の再診では活動性は元に戻り食欲も良好。膀胱炎症状も落ち着いたとのこと。
獣医師からのコメント
発熱性好中球減少症は抗がん剤投与後に起こる可能性があり、亡くなることもあるため緊急状態であり、基本的には入院下での管理を行います。抗がん剤により骨髄抑制が起こることで一時的に体を守る免疫細胞の1つである好中球が極端に低下することで免疫力が下がります。
また抗がん剤の副作用として嘔吐、下痢などの消化器症状もありますがこれは腸の粘膜にも抗がん剤が効いてしまい、腸粘膜にもダメージを受けるためです。腸の粘膜がボロボロの状態で好中球が少なくなることで普段は共存している腸内細菌や口腔内細菌が体内に侵入し(バクテリアルトランスロケーションと言います)、その結果敗血症を起こし、死に至ります。この子が最初に来院した際の好中球はほぼ0で、かつ尿路感染も起こしていた為腎盂腎炎への発展の可能性もありましたがその前に治療することができました。
元気になってくれる子がいる一方で約1割の子は無くなってしまう怖い状態でもあるため、抗がん剤の治療中は少しの変化でも相談にいらっしゃることをお勧めします。
担当獣医師のお名前
小島 大輝




