犬の下顎メラノーマ

症例

14歳10ヵ月

犬(トイプードル)

去勢雄

来院理由

歯茎にできものがある。

身体所見

右下顎吻側口唇~歯肉にかけて約25㎜大の赤褐色の腫瘤性病変を認めた。

検査 

身体検査では、右下顎の腫瘤に加え、右下顎リンパ節の腫大を認めました。

胸部レントゲン検査では明らかな異常所見は認められませんでした。

鎮静下で口腔内検査および生検を実施したところ、病理組織学的検査にて【悪性黒色腫(メラノーマ)】と診断されました。

さらにCT検査を実施した結果、右下顎口唇部に約22.7×16.7×18.8mmの不均一な造影増強を示す腫瘤性病変を認めました。また、同側の下顎リンパ節および内側咽頭後リンパ節の腫大を認め、転移が疑われました。

一方で、腫瘤周囲の下顎骨に明らかな骨融解像は認められませんでした。

(図1 右下顎腫瘤)

治療方針

以上の検査結果より、右下顎腫瘤は悪性黒色腫(メラノーマ)であり、右下顎リンパ節および右内側咽頭後リンパ節への転移が疑われました。

口腔内のQOL(疼痛、出血、口臭など)の維持・改善を目的として、右下顎リンパ節切除と片側下顎吻側切除術を実施しました。

メラノーマは、十分な切除を行った場合でも遠隔転移を生じやすい腫瘍です。特に肺転移のリスクが高く、外科的に完全切除できた場合でも、その後に転移が認められることがあります。

<手術の様子>

(図2 切開部位)
(図3 右下顎部分切除)
(図4 縫合後)
(図5 縫合後)
(図6 切除した右下顎)

  

経過

術後3週間の時点では、食事は問題なく摂取できており、疼痛も認められず、良好なQOLを維持できています。

抜糸終了後、術後補助療法としてカルボプラチンによる化学療法を開始しました。

今後も定期的な画像検査および身体検査を行い、転移の有無を継続的に評価していく予定です。

(図7 術後3週間後の術部)

獣医師より一言

 犬の口腔内に発生する腫瘤性病変には、良性腫瘍と悪性腫瘍があります。代表的な口腔内悪性腫瘍として、メラノーマ、扁平上皮癌、線維肉腫などが挙げられ、それぞれ特徴的な病態を示します。

口腔内腫瘍は初期には発見が難しいこともありますが、

  • 口をくちゃくちゃする
  • 口臭が強くなる
  • 食べづらそうにする
  • よだれが増える
  • 出血がみられる

といった症状が早期発見の手がかりになることがあります。

ご家庭での口腔ケアが難しい場合も少なくありません。お口に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

担当獣医師のお名前

丸山 純果

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