猫の脛骨癒合不全に対するプレートロッド法及び 後浅腹壁動脈有軸皮弁

症例

10歳7カ月齢、雑種猫、去勢雄、8.0 kg (BCS 4.5/5)

来院理由

2週間前に自宅にて右脛骨骨折(明らかな原因は不明)

その後他院で複数回の手術を実施するも固定が破綻してしまうとのことで紹介来院

身体所見

肥満体型、創外固定設置済み(骨折部位の動揺)

術前の外貌:右後肢に創外固定設置されていた

検査

レントゲン検査⇒脛骨骨折部位の癒合−

 SAA 94.4 μg/ml  (0〜2.5)

他院で設置したインプラント抜去

治療方針

1、インプラント抜去後に抗生剤(バンコマイシン)治療10日間実施→検出菌:メチシリン耐性Sta. aureus

  次の手術までは包帯法+ケージレスト

他院で設置したインプラント抜去→培養検査
イソジン生理食塩水にて洗浄
インプラント抜去後のレントゲン検査
インプラント抜去後のレントゲン検査

2、第10病日に腐骨切除後+プレートロッド法(LCP, 径2.7 mm, Synthes社)+自家海綿骨(人工骨+トラフェルミン製剤)移植実施

度重なる手術のため皮膚の閉鎖が困難であったため、アンダーマイニングを実施し、なんとか縫合閉鎖

2回目の手術:骨折部位露出
2回目の手術:腐骨切除
2回目の手術:順行性に髄内ピン設置
2回目の手術:LCP設置
2回目の手術:海綿骨+人工骨+トラフェルミン製剤を混ぜている
2回目の手術:術部に移植
2回目の手術:縫合部
術後レントゲン検査
術後レントゲン検査

3、第15病日に術部離開しため、後浅腹壁有軸皮弁実施

第15病日に術部離開
3回目の手術:皮弁の切開ライン
3回目の手術:浅後腹壁動脈に注意しながら皮弁作成
3回目の手術:皮弁を皮膚欠損部位に移植
3回目の手術:術後の外観(皮膚欠損部が覆われている)
3回目の手術:術後の外観(皮膚欠損部が覆われている)

経過

最後の手術から7日目には患肢の負重が認められた、明らかな皮弁の脱落は認められず2週間後に抜糸

術後のレントゲン検査では、プレート直下の骨の癒合はゆっくりではあるが進んでいる

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