膀胱結石

症例

年齢:9歳11か月
犬種:ブリタニー・スパニエル
性別:避妊雌

来院理由

1週間前から頻尿を認めた。

【既往歴】
・再発性膀胱炎

膀胱炎を繰り返しており、そのたびに排尿回数が増える、血尿がみられるなどの症状が認められていた。

検査

【腹部超音波検査】
・膀胱内に多数の結石を確認
・両側の腎臓にも小さな結石を確認

画像1、2 超音波検査 膀胱内に複数の結石を認めた

【尿検査】
・血尿(赤血球+)
・尿細胞診:結晶成分は認められず

尿中に結晶が認められない場合でも、結石が存在することは珍しくない。
そのため、超音波検査などの画像検査が非常に重要になる。

治療方針

今回の症例では、膀胱内に多数の結石が存在しており、それらが慢性的な膀胱炎や頻尿の原因となっていると考えられた。
結石が少量であれば、食事療法による溶解を試みることもあったが、

・結石の数が非常に多かったこと
・膀胱炎を繰り返していたこと
・根本的な原因を取り除く必要があったこと

以上の理由から、膀胱切開による膀胱結石摘出術を実施した。
摘出した結石については、分析検査を実施した。

【結石分析結果】
・ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム):77%
・尿酸アンモニウム結石:23%

分析の結果、複数の成分が混在する混合結石だった。
犬でよくみられる代表的な結石をまとめた。

スクロールできます
結石の種類結石の種類食事療法主な原因
ストルバイト結石
(リン酸アンモニウムマグネシウム)
犬で2番目に多い結石
細菌性膀胱炎と関係
〇細菌感染
尿のアルカリ化
シュウ酸カルシウム結石犬で最も多い結石
中高齢で多い
×体質、尿の濃縮、高カルシウム尿など
尿酸アンモニウム結石ダルメシアンなどの犬種で
多いが他犬種でも発生
△尿酸代謝異常、
肝疾患、体質

尿路結石は、手術を実施して終了というわけではない。再発予防には食事療法が非常に重要である。
療法食は、尿中のミネラルバランスを調整し、尿量を増加させ、適切な尿pHを維持することで、結石が形成されにくい環境を整える役割を持つ。
一方で、シュウ酸カルシウム結石のように、食事療法では溶解できない結石も存在する。
そのため、結石の種類に応じた適切な治療法を選択することが重要である。

画像3:膀胱内の結石を摘出
画像4:膀胱から摘出された結石

経過

術後は一時的に血尿が認められましたが、術後2日目以降には尿色は正常化し、自力で問題なく排尿できるようになりました。
また、術前に認められていた頻尿は改善し、1回あたりの排尿量もしっかりと確保できるようになりました。術後も元気・食欲ともに良好な状態を維持し、経過は順調であったため、術後8日目に退院となりました。
現在は結石の再発予防を目的として療法食を継続しており、定期的な尿検査および超音波検査を行いながら経過観察を続けています。
尿路結石は再発しやすい疾患であるため、今後も食事管理と定期検診を継続し、早期発見・早期対応に努めていく予定です。

獣医師からひとこと

膀胱結石は、一度治療して終わりではなく「再発予防」がとても大切な病気です。
特にストルバイト結石は細菌性膀胱炎と深く関係しており、膀胱炎を繰り返すことで再び結石が形成されることがあります。
また、シュウ酸カルシウム結石や尿酸アンモニウム結石では、体質や代謝が関係している場合も多く、一生を通して管理が必要になることもあります。
療法食を継続すること、水分摂取を十分に行うこと、尿を我慢させない生活環境を整えることは、再発予防にとても重要です。
「最近トイレの回数が増えた」「血尿が出た」「排尿時に痛そう」「尿が少ししか出ない」などの症状がみられた場合は、膀胱炎だけでなく結石が隠れている可能性もあります。
早期発見・早期治療が愛犬の負担を減らすことにつながりますので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。

担当獣医師:丸山純果先生

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