左下顎骨粉砕骨折の整復および両下顎骨脱臼の整復

症例

12歳齢、ポインター、未避妊雌、17.76 kg (BCS2/5)

来院理由

昨日交通事故に遭ってから、顎が閉まらなくなった

身体所見

閉口障害

検査

レントゲンおよびCT検査(他院)を実施

図1・2:頭部レントゲン画像
図3〜6:CT画像より作成した左下顎骨の3D画像

診断

・左下顎骨下顎枝粉砕骨折
・左下顎骨頭背側脱臼
・右下顎骨頭背側脱臼

治療方針

本症例は交通事故による受傷直後での来院であり、第1病日での長時間麻酔を避けるため、治療を2段階に分けることとした。

第1病日
・右下顎骨骨頭背側脱臼に対する非観血的整復とテープマズル設置
・胃瘻チューブ設置:一時的に経口での食事が不可になるため設置
・スケーリング:観血的整復の前に口腔内環境を綺麗にする目的として実施

図7:麻酔前の外貌
図8:非観血的整復およびテープマズル設置後の外貌
図9:内視鏡下での胃瘻チューブ設置
図10:口腔内に歯石付着を確認(スケーリング実施前)

第7病日
・下顎関節の整合性および咬合確認のため、一時的気管切開にて麻酔管理
・左下顎骨に対して骨折整復と脱臼整復を実施。ラグスクリュー法とリコンストラクションプレート(径2.0mm)にて骨片を寄せ、中和プレートとしてSOPプレートを設置。

図11-12:一時的気管切開による麻酔管理
図13:下顎骨の骨折部へアプローチ
図14-15:骨折部を整復
図16:術後の縫合部
図17-18:術後レントゲン

経過

第14病日:経口にて食事(柔らかいフード)を開始
第21病日:通常通り食事も取れるため、胃チューブ抜去+CT撮影(他院)を実施

現在も経過良好のため、経過観察中

担当医:林 佑将

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